気がつけば無○○の女になっていた
- Mari Okazaki
- 3 déc. 2024
- 6 min de lecture

韓国に引っ越してくる前の、すっかり寒くなった 9 月のとある日曜日の夜。直前の会社で一緒に働いていた人が、パリで語学系のコミュニティーをやっているので、イベントに参加してきた。ちなみに日本語xフランス語と、フランス語x英語の会があるそうで、パリの言語系コミュニティーでは、ここが一番大きいらしい。出会った人みんないい人で、初めて、しかも一人で参加したからドキドキしていたけど、とっても楽しかった☺️ 日本人は今すごくパリで少ないので、喜ばれるはず。ぜひ行ってみて。(下のリンクをクリックするか、インスタでDMを送ってみよう!)
事件はそこで起きた。一回目のテーブルで、奇しくも私の妹カップルと同じ業界で働くという男性と話す。自動車業界の話などをしていたのだけど、その人は突然、真顔で私に「君の趣味は何?」と聞くではないか。
その時私は、冗談でなく数秒間フリーズしてしまった... 『趣味...?しゅみ?なんかあった気がするけど、何だったっけ... 旅行もなんか違うような気がするし...』
「えっ、 子どもを寝かしつけた後、毎晩 YouTube とインスタグラムに行く以外でってこと?」と言って、笑いを取ったのだけど、この質問はけっこう響いた。なぜなら問題は、私は 10 年前まで「書道」が立派な趣味だったのだけど、ある時からそれは「仕事」になったので、最近全然書道を楽しめていない、という、私にとってけっこう深刻な問題があるからだ。
「好きなことを仕事にしたい・好きなことで生きていきたい」とはよく聞かれる言葉である。ちょっと前からのトレンドでもある。実際に、それで生きていくことができる柔軟な世の中になった証だし、それはそれで素晴らしいことだし、本人の才能次第なわけで。
私も、パリで書道を再開した時には、先生や、アトリエのレベルにものすごく刺激を受けて、それは突然やって来た雷のごとく、私は魅せられていた。『先生のように、書を仕事にしたい...!』と強烈に憧れた。無事、師範を取ったタイミングと関係あるのかないのか(それよりは諦めや勇気のような気もするし... )、時々ブランドのイベントに呼ばれて、ワークショップをしたり、ロゴのデザインを考えたり、ヘビーメタルバンドのミュージックビデオ用に綺麗なお姉さんの裸体に書いたりと、実にいろいろな仕事をさせてもらって、経験を積んだのだけど、ある時、私は確実に壁にぶつかったのだ。あんなに大好きだった書道が、「なんか、楽しくない...」
多方面から、仕事になったんだから、当たり前だろ!!甘えてんじゃねぇ!と突っ込まれるしかないと思う。えぇ、本当にその通りです。好きなことを仕事にした人は、みんなこの壁にぶち当たったのか、どうやって乗り越えたのか、教えて欲しい。ちなみに間違っても、「俺は書をマスターしたぜ!」とか思っているわけではないので、そこは誤解のないようにお願いいたしまする...。
「好きなことをずっと楽しみつつ仕事にする」、これは簡単そうに見えて、意外と難しいコンセプトのような気がしている。従来の考え方では、「生きていくための仕事、すなわち労働」と「好きなこと」は、あくまで相反するからなのか。
以前、BTS の V が、確か MTV アワードのステージで楽しく歌い踊るブルーノ・マースを見て、「あぁ、どうしてあんなに楽しそうに歌って踊れるのかな、すごいな、僕もああなりたい」と呟いたシーンが印象的で忘れられない。もしや V も、同じような悩みがあるのかな...?(もちろん、世界の BTS と現在ほぼ無職の私では、比べ物にならないことは十分承知しておりますのでご安心ください。ちなみに私の推しは V さんではなくて、WWH♡)

いろいろ調べてみると、「好きなことを仕事にしては駄目、絶対にあとで辛くなる。そういう人はみんな苦しくなって、つぶれていく。好きは好きでも、"得意なこと"を仕事にするべき」という意見も目にした。なるほどねー。そこ、二種類あったのか.....
「そういう時は、思い切って離れた方がいい」という意見も目にしたので、正直に白状しよう。去年から、少し書とは離れている。。書を見るのは今でも大好きだけど、自分が何を表現したかったのか、分からなくなっているというか...。もしかしたら、また新しいミディアムを探す時なのかもしれないし、来年になったら念願の「絵」を始めてみたいと思ったりもする。
また別の同僚のお父さんは、日本人だけど、フランスで長年画家をされている。どうやって長年モチベーションを維持されているのかな、と質問すると、その人は教えてくれた。「彼の、今の夢は、死ぬまでに出来るだけ多くの絵を残すことで、毎日描いているんですね。自分の絵でいっぱいにしたい、そうなんですね」。聞くと、大阪のデパートでの個展も控えているらしい。彼のお父さんのように、(いい意味で)ある種狂ったように、情熱を持ち続けられる人のことを、心の底から尊敬し、羨ましく思う。私は一体どこで、情熱を失ってしまったんだろうか?年齢のせいにするのは、あまりにも簡単だ。

というわけで、突然の「君の趣味は何?」。気がつけば無趣味の女になっていたわけで、こんなに悲しいことはない。Sad でもあり、pathetic... これにはいろいろ考えさせられた。でもそのおかげで、『そうだ、私は書くことが好きだったんだ... 書道でもライティングでも、私は書くことが好き』と思い出すことができた。記憶喪失なの?って感じだけど、これが私なのでどうしようもない。相変わらず意識は低いし... 。しかし、ちょうどタイムリーなことに、昨日久しぶりに会った韓国の知人に「マリの趣味って何?」と聞かれたのだけど、この事件があったおかげで、今回は自信を持って答えることができた!"Writing! I recently rebooted my blog, it's a writing blog, which was pretty dead..." ってね。
そもそも、あまり器用な方ではないので、ひとつのことに情熱が行っていると、もうひとつのことが疎かになってしまう傾向はある。熱しやすく冷めやすい。なので、この 10 年ちょっと、書に没頭していたけど、その間やはり、全然ライティングは置き去りになっていたわけで...。もう少し器用に、いろいろ平行してできるようになりたい。そう言えば大学生の頃とか、もっといっぱい書いてたな...。だけど、こうやってバランスを取りつつ、シャガールの、青の時代みたいに、人って、そういうフェーズがあったりするのかな、とも思ったりする。(BTS 然り、私と世界のシャガール先生じゃ、雲泥の差なのは承知していますけども...)
あ、今日も小見出しが全然付けられなかった...
※「どうしてまりちゃんは毎回小見出しにこだわっているわけ?」と思われる方のためへ。
私の書く文章がだらだらと、しつこく、読みづらいのは十分理解しておりまして、頻繁に改行するよう心がけたり(笑)しているのだけど、小見出しを付けないと、お父様から叱責が来るのよね... 昔から何か論文など添削してもらう際には、「文章には小見出しを付けて、読み手に分かりやすく!要点をすっきりと!!」というコメントが真っ先に聞こえてくるのだった...
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